部下が上司に「そっぽを向く」瞬間

※本記事は、別の会社様に寄稿させていただきました。

新年度を迎え、4月から新しく管理職になった方もいらっしゃることでしょう。

また、今まで一番下だった状態から、部下がついた方、新人研修が終わった段階で職場での指導員になる予定の方など、新たな人間関係の構築が必要になる方も多いのではないかと思います。

どう指導したら良いのかわからない

年齢が違いすぎて何を話したらいいのかわからない

何か言ったらパワハラセクハラと言われそうで怖い

そんなご相談をこの時期多く受けます。

企業様の従業員面談で毎年数百人とお話していると、部下の皆さんは上司のあなたのことをよく見ているな、というのが率直な感想です。

そして、秘密が守られるとはいえ、外部の人間にここまで言うなんて、どれだけ上司は部下からそっぽを向かれてしまったのか、と驚かされることもしばしばです。
私の会社員時代の経験を思い出しながら、部下が上司に「この人無理」と思う瞬間というお題で、今回は書いてみたいと思います。

部下が「この人は尊敬できない」と感じるのは、だいたい大きく分けて2点に集約されます。

「え?この程度?」と仕事の能力に疑問を抱いた

「ヒトとしてどうなの?」と人格に疑問を抱いた

それぞれ詳しく見ていきましょう。

仕事の能力に対する評価

この評価をする人は、自分に厳しい人が多いです。

「このポジションなら、この給料をもらっているなら、〇年勤務しているなら、このくらいの仕事ができるはずだ。だってプロなんだから」

と自分に目標を課し、相手にも求めるわけです。

そうすると、加点式ではなく減点式で上司を見ますし、特に日本ではこの傾向が強いです。

上司の仕事ぶりに関して、部下から見えるのは、自分と「からむ」ところです。つまり、自分ができない仕事や悩んでいる問題に、良い解決策やヒントをくれたり、先方との打合せで苦戦していた案件をサクッと片付けたりするのを見て「やっぱり管理職になるだけあるな」と感心するわけですが、厄介なのが他部署から異動してきた部下です。これに加えて前部署の上司と比較する、というハードルが出現します。

能力に対する評価に関しては、黙々と努力して部下を認めさせるしかありません。

あなたを管理職に任命したのは会社であり、組織です。能力主義の風潮が強い今の世の中で、単に先に入社しているからという理由だけで、力量がないとわかっているのに出世させるだけのポジションの数も、余裕も、組織にはないはずです。

ですから、ご自分を信じて、できない理由や言い訳をせず勤務時間中はひたすら目の前の業務に邁進することです。色々言いたい気持ちはよくわかりますが、ここはグッとこらえてください。ああだこうだ言うと、さらに部下から「減点」されてしまいかねません。

人格に対する評価

部下が上司を見る目は意外とシビアです。

理想の上司像のアンケートをご覧になったことはありますか?

明治安田生命さんが毎年行っている、「理想の上司」アンケートというものがあります。

2024年2月にリリースされた情報では、理想の男性上司のトップは、内村光良さん、2位が大谷翔平さん、以下ムロツヨシさん、安住紳一郎さん、栗山茂樹さん…と続きます。

また、理想の女性上司は、トップが水卜麻美さん、2位が天海祐希さん、以下いとうあさこさん、新垣結衣さん、アンミカさん…と続きます。

共通項を分析すると、リーダーに向いている能力と、良い人格とを持ち合わせているイメージの人がならんでいます(実際ご本人がその通りかどうかはわかりませんのでここでは議論しません)。

こんなすごい人たちと一緒にしないでくれ!という悲鳴が聞こえてきそうです。誰もが理想の上司像のようなボンヤリしたイメージを持っていて、そこに勝手に当てはめようとしているだけなのですから。

人間ですからどんな人でも完璧ではありません。ですが、「ここを超えてはいかん!」というボーダーラインはあります。

特にやってはいけないことを5つ記します。

1.ジャイアンになる:部下の手柄は自分のもの、自分の手柄は自分のもの、ではいけません。これを一度やってしまうと、その後の部下はあなたの足を引っ張る側に回ります。

2.責任逃れ、その場しのぎ:部下が一番困るのは「そんな命令を出した覚えはない」と言われることと、「さっき言っていたことと今言っていることが全然違い、言っている本人がそれを自覚していない」ことです。私はこれを頻繁にする上司に対して「エビデンスとして残したいので業務に関することは全てメールで命令してください。メールが面倒でしたら、命じられたことを文字に起こしますので、間違いないとメールに返信するか、書面にハンコをください。そうでないと時間をかけた仕事がムダになります」と直訴したことがあります…。

3.思ったことをそのまま声に出す:時々臆面もなく「俺に恥をかかせるな」と言う方もいらっしゃるようですが、「部下のためでなく自分のため」というニュアンスは、どんなに心の中で思っていても口にするべきではありません。品性を問われます。

4.話を聞かない:部下が大変さを訴えているのに、いつの間にか「俺はキミ以上に大変なんだよ」と自分の話にすり替えてしまう方は「部下の話すらまともに聞けない」と思われてしまいます。あなたにも部下と同じ時代があったはずです。生意気だろうが、拙かろうが、それを受け止めて話に耳を傾ける心の余裕が必要です。

5.感情をあらわにする、特に短気を出す:感情をコントロールできず、皆の前で部下を怒鳴りつける人を見かけますが、どうしても幼稚な印象を周囲に与えてしまいます。喜怒哀楽の大きさは、時として魅力的に見えますが、ビジネスの現場ではプロフェッショナルの印象を与えることができません。

能力に関するものよりも、人格に関するものの方が、部下との関係をこじらせやすいです。

恨みを買うことは、これからの世の中得策ではありません。

理不尽と思うところもあるかもしれませんが、極論は、コミュニケーションがちゃんと取れていて、部下との信頼関係がしっかり築けていれば、部下があなたを見限ることはありません。

私が部下の立場だった時、一番信頼していた上司とは「私が何かやらかした時に責任を取ってくれるために上司がいるんですよね♪」「いいや!俺はそこまで管理職手当をもらってない!」なんて軽口をたたきながら仕事をし、お互いに職を辞した今でも交流があります。

タイプによって相性もあり、部下全員、分け隔てなく信頼関係を築けるわけではありませんが、あなたの頼もしい片腕となる人を育てることに喜びを感じられるように、あなた自身もポジションを得たことで成長を加速していけるように、でも限界まで無理をしないように、日々の業務に邁進され、良い結果を残されますよう祈っております。

先ほど「部下とのコミュニケーションがちゃんと取れていて…」と書かせていただきましたが、こちらのコミュニケーションに関しては、研修のカリキュラムとしてうけたまわっておりますのでそちらをご受講ください。ととりあえず宣伝しておきます(笑)。

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