では、どうやってアメを使えば良いのか?

アナタの常識が通用しない、そんな時代になっています。

今回のコロナ禍で、変化のスピードはさらに加速しています。

去年の今ごろ(2019年11月)、リモートワークが推奨され自宅で仕事をし、長期にわたり子供たちが学校へ行けなくなり、夏にもマスクを着用することになると誰が予想していたでしょうか。

アメがアメにならない、そんな時代に、部下をどう管理すれば良いのでしょうか。

私の提案は、使い古されているし、最初はとても時間がかかるし大変ですが、その後はとても楽になる方法です。

部下の本音を徹底的に聞き出す

これ、できない人が多いんです。

いいですか。「聞き出す」だけです。
アナタが話してはいけません。

部下がどんなに荒唐無稽なことや、ワガママいっぱいの要求を言ったとしても、「お前の考え方は甘い!」と言わないで、「そうかそうか」と話を聞く。絶対に怒ったり「その考え方はダメだ」と否定したりしてはいけません。こんなことをしたら、部下は二度とアナタに本音を言いません。

本音を聞き出すことに成功すると、部下一人ひとりが何を大切にしているのかがわかります。

先に言っておきますが、「私が一番大事にしているのは〇〇です」なんて直接的なことを言ってくれる部下はいません。

ご自分のことを考えてみてください。
たとえば、仮にアナタが「異性にモテることこそが何よりも大切だ!」「アイツよりも出世したいんだ!」「もっとお金が欲しい!」と思っていたとしても、他人にそれをハッキリ言いますか?
世の中の大多数は「いいえ」です。

そして、部下自身が、自分にとって何が一番大切なのかをわかっていないケースもあります。
だから、部下の心の奥底にある、「アメになる可能性があるモノ」をアナタが探していかなくてはならないのです。

なぜあくまでもアメになる「可能性」があるモノなのかというと、組織の中で、アナタが社長ならば即座にアメにできますが、アナタよりもポジションが上の人が組織に存在するのであれば、アナタの裁量権を超えている場合、その人に「このアメを部下に報酬として与えて良いか?」と折衝しなくてはならないからです。
上の判断がノーだった場合、当然アメとして提示することはできません。

ということは、アメとムチ、はもはや機能しないのか?

結論から言います。

機能するケースもありますが、片手落ちです。

組織を活性化させ、結果を出していくためには、アメとムチだけでは続きません。

では、何が必要なのでしょうか?

○部下から信頼を得る

まずは、先ほど書いたように、徹底的に部下と会話することです。

「個人情報は言いたくありません」と言い出す部下も出てきますが、それはアナタへの信用、信頼がないからです。
最初から胸襟を開いてくれる人などほとんどいません。

まずは、上司であるアナタが部下を信頼すること、そして、社会人としてのありようを背中で見せること。

信用や信頼は、一つずつ積み重ねていくものです。
部下は、アナタの一挙手一投足をよく見ています。言動不一致の人に本音は絶対に話しません。
アナタもそうでしょ?

だからこそ、経営者や上級の管理職は、歴史の本を読み、過去の偉人に学ぶのです。

ポジションが下のうちは、ハウツー本のような、業務の効率的な進め方などのビジネス書だけ読んでいても問題ありませんが、ご存知のとおり、職位が上がれば上がるほど、能力ではなく人格や人徳で仕事をしていくことになります。自分で仕事をするのではなく、部下に指図して動いてもらうには、個人の能力よりも人格や人徳が優れていることが絶対条件になるからです。

「あの人、仕事はできるんだけど……ヒトとしてはナシ」

なんてウワサが聞こえてきたら、早く改めていかないと、上に立った時に下からそっぽを向かれますよ。

とはいえ、織田信長の真似をしたり、坂本龍馬のように振る舞ったりするのはやめてくださいね。本当に迷惑ですから!!!
(お伝えしないと大きく勘違いされる方がいらっしゃるんですよ……。「鳴かぬなら殺してしまえ」と信長が言っていた(歴史的には本人が詠んだ根拠ナシ!)からと、「できないなら辞めてしまえ」と暴言を吐いたりする人……天下統一どころか、家庭内を統一できていない状態でこんなことを言うなんて図々しいにも程があります!)

小手先だけ勉強したところで意味はありません。彼らがなぜ成功し、なぜ失敗したのか、そこに共通する原理原則は何かを学び、自分を振り返り、至らぬ点を反省し、自分にどう応用して活用するか?を学んでください(これ以上は話し始めたら止まらなくなるので別の機会に書きます)。

○すり合わせる

部下の心の底がわかったら、今度は会社の方針とのすり合わせを行います。
そして、アナタから見て、部下に

期待していること
身につけてほしいこと(足りないもの)

等を伝えます。

そして、それぞれについて、部下自身がどう思うかを聞いていきます。
期待していることに対して、やる気があるかどうか、どこまで頑張れるか、実行するための手段はどうしようか、等です。

この件では、アナタは口をなるべく挟まないようにしましょう。
アナタが口を出し過ぎると、部下は「押しつけられた」と感じるからです。

○すり合わせた内容をお互い合意する

すり合わせたら、内容を、数値化できるものは数値化します。
そして、いつまでに達成するかを決めていきます。
数値化が無理なものは、具体的にどうなれば良いのか記録します。

これが個人の目標になります。

この時のアナタの役割は、部下が少し背伸びをして頑張れば達成でき、充実感を味わえるラインを見極めてアドバイスすることです。
高すぎる目標では、「これは無理だ」と出鼻をくじかれるような出来事があるとすぐにやる気を失ってしまいますし、目標が簡単すぎると達成感を得られないばかりか、「こんなものか」と逆にやる気を奪う結果にもなります。

これ、部下の能力、性格を本当に理解していないとできません。

そして……

○目標達成できた部下を、真っ当に評価する

上司がニッコリ笑って肩をポンと叩き「頑張ってくれてありがとう」と言えば部下は感動して全部が報われたように感じる、なんてゆめゆめ思わないでください。
今は令和です。昭和でも戦時中でもないのです。
信頼関係がなければ肩をポンとしただけでセクハラと言われる時代です。
そして、その信頼関係は、些細なひとこと、行動ひとつで崩れてしまうものなのです。
少なくとも、直属の上司であるアナタだけは、結果に対してのみ評価を下すべきです。「コイツは言うことを聞かないからあんまり好きじゃないんだよな……」をしてはいけません。

というか、徹底的に部下の話を聞いた上司なら、仮に「アナタの言うことは聞けません」と思っても、必ず相談してくるはずです。だって、上司は部下の話を聞いてくれる信頼できる人(聞き入れるかは別)なのですから。
そんな部下をかわいくないと思いますか?
きちんと話したにも関わらず部下が反発しているのだとしたら、それは「合わせ鏡」、アナタがどこかでしている姿です。上司かもしれないし、社長かもしれない、あるいは家庭内かもしれません。態度に出していなくても、心の中で少しでも思っていたらアウトですよ!
部下への不満を声に出す前に、自分の振る舞いを見直す必要があります。

間違っても「来期はコイツを管理職に上げたいから、他の部下の評価は下げてコイツに集中させよう」なんてバカなことをやってはいけません。
悪事千里を走る、必ずどこかから情報が洩れます。……誰の経験かは聞かないでね(笑)。

モチベーションの上げ方、と質問されて、この回答ってどうなの?と思われたかもしれません。

極論ですが、モチベーションはそこまで大事ではない、と私は思っているのです。

逆に、会社の目標達成のために、個人のやる気に依存するやり方ってどうなの?と思います。

会社の目標は、業務にあたる個人の目標の集積です。それぞれが能力に見合った目標を持ち、実行し結果を出せばよいのです。
頼るべきは、部下に任せるしかない、曖昧で不確かな「心(やる気や熱意)」ではなく、部下のことをよく理解してくれる、信頼できる上司と共に作った目標、それを実行しやすいレベルにまで落とし込める「仕組み」ではないでしょうか。

P.S. とはいえ、本当は「心(心がけ)」が足りないと、結果的にだいたい70%くらいしか達成できなかったりするのですが……これはまた別の機会に♪

P.P.S. そして、部下との会話を円滑に進め、信頼を得るには、実はコミュニケーションにコツがあるのです。
どう進めるかご興味のある方は、コチラをご覧ください。

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